2014年10月13日月曜日

吉永小百合を殺してはイケない

久しぶりにあった山小屋の隣人と夕食を取った後、映画の話しになって、隣人がいま話題になっている吉永小百合企画-主演の「不思議な岬の物語」を観なければ、とうれしそうにしているのを見て、
「あの女優は大根だからね」と言うと、
「でも、あの歳でいまだに可愛いからね!」と反論されて、納得してしまった。
それにしてもこの映画の宣伝はすごい。あらゆるメディアを使って広報に勤めているようだ。
それで、台風が近づいている土曜日、この映画の封切日、別府に帰る途中の映画館によってしまったのだ。
本編が始まるまでの宣伝や予告編が 長すぎたのが多いにイケなかったのかもしれない。もう頭に来て「いいかげんにしろ、こんなのもには金を払っていない。」と怒鳴ってやろうと思ったほどだ。
気が短くなっていけない。
この映画、要するに何を描きたいのか判然としない。カットがぶつぶつ切れていて私の脳細胞ではつなぎきれない。テーマらしきものは感じるがこれも盛り込み過ぎで消化できない。
それに吉永小百合の演技が良くない。最もこれはある程度織り込みずみではあったが、それでも良くない。
たとえば、佇んでいるだけでも役者はなにか「物を言う」。佇んでいる意味があるのだが、小百合ちゃんには何も感じない。表情が乏しいのだ。
台詞も心もとない。声が悪いのだと思う。
小百合ちゃんは峠三吉など反戦詩の朗読をしている。テレビで何度か聞かせてもらったが、はっきり言って下手だ。朗読にふかみがないのだ。こちらの心の中に染み込んでいかない。
吉永小百合という名声だけでこの映画を見せようと言うのであれば、少し悲しい。
もっといい女優がたくさんいる。企画が小百合ちゃんであれば企画力も怪しくなる。
本当の企画者はもっと考えないと。

2014年10月8日水曜日

世の中にはすごい奴もいるもんだ

運悪く、佐藤優の文庫本を手に取りパラパラとめくってみた、と思っていただきたい。
運悪く、目に留まったページが米原真理のことについて書いてある箇所だった。さらに、そこで紹介されている彼女の本の題名が「打ちのめされるようなすごい本」というのだ。
これだけで十分打ちのめされるが、さらに(よせばいいのに)この本を探して、買ってしまった。
もうこうなると怖いもの見たさに抗えず、読んでしまうのは自然の成り行きと言うものだ。
米原真理と佐藤優の関係がまた面白い。
方やロシア語の通訳、こなた外務省ロシアスクールで、共にロシアつながりで昔から交遊があったのかもしれない。佐藤が鈴木宗男事件に連座して逮捕されるというその前日、親しくしていた人々が連絡を控えている中、米原は「あなた、明日からまともなオマンマは食べられないでしょうから夕食でもどう?奢るわよ。」と電話してきたらしい。
「そう願いたいところですが、マスコミに張られていて身動きとれません。」とていねいにことわったそうだ。
さてその本、米原の読書日記のようなもので、誠に面白い。その読書量もさながら、読書力、批判力、楽しむ力、まさに打ちのめされる。
米原は確か数年前ガンでなくなったと思うが、小生もせっかくガンの仲間入りをしたのだから、すこしでも近づきたいものだと、打ちのめされつつも、そう願わずにいられない。
よせばいいのに、少し事情があって柄谷行人の「世界共和国へ」を読み直さねばならなくなって、交互にすこしづつ読んでいるところ。
不思議に山小屋にも抱えていくのだが、ここでは一向にすすまない。たぶん気候がいいせいだとおもう。