2012年8月25日土曜日

ようやくキツネの乱舞

 山小屋は、朝夕になると過ごしやすくなりました。
 夏大根がおおむね終わり、ミニトマトも実はつけているものの、元気がなくなり始めています。
今元気なのは、ナス、ピーマンくらい。サトイモの葉が大きくなりました。それこそ傘の代わりになるくらい。
 先々週植えたニンジンは、芽を出したものの心もとない状況で、もう一度撒きなおしたほうがいいのかなと思っています。
 先週は、たまねぎと聖護院かぶ、冬大根を植えてきました。来週はニンニクを植えようと思っていますが、少し早いのかな?
 

 ようやくキツネのカミソリが咲きました。いつもより数が少ないような気がしますが、それでもまるでキツネの草原です。咲く場所が移動しているようにも見えます。球根のはずですが、種でも増えていくのかな、と考えています。

 この冬は果樹たちの剪定をしようと思っています。一度自分でやったのですが、まるでだめです。思い切って切ることができません。もちろん剪定の仕方もわかっていませんから。
 時々現れるこの村の住人で、風来坊の庭師が居ます。仕事があるときだけ仕事をして、後は旅をしたり、山に登ったりと気ままな生き方をしています。先週昼飯をご馳走しながら、「どげんしたら良いか、解らんとよね!あんた、ばさばさっと切ってくれんね。暇なときでいい、ギャラはちゃんと払うけん」とお願いしました。「良いですよ、その頃来れるいいんですが」と頼りない返事。
 さて、大丈夫かな?

2012年8月19日日曜日

暇人の一日一膳かな?

 その昔、印刷関係の仕事をしていた頃、わが社の担当者をしていた営業マンがどうしたわけかちいさなレストランを始めた。
 「お前がやれるほど甘くナインじゃないか!」と冷やかしながらも、時々出かけては油を売りつつ売り上げにも協力してきたが、次第に足も遠のき、先日久しぶりに行ってみた。
 驚いたのは、まだ店が続いていたことと、開店当初アルバイトに来ていた可愛い女子大生が、もう卒業して養護施設に就職したはずなのに、エプロンをして立っていたことだった。
私が「??」という表情をしたのであろう、マスターが「でもどりです」といい、女の子は下を向いて少し笑っているような仕草をした。
 「確か、子供の養護施設に就職したんだったよね」というと、わずかにうなづいて「はい」と言って下を向く。この子は沖永良部から別府に来たのだったと思いだした。

 「随分きつい仕事のようですね。まるで自分の時間はないようです。給与も安いんですが、そんな問題ではないと言うんですよ」とマスターが説明。
 別府は母子家庭や父子家庭、育児放棄の家庭が多いと聞いたことがあり、宗教団体の養護施設もかなりあるようだ。地方自治体の補助金と寄付などで運営しているのか、スタッフの境遇は余り恵まれているとはいえないようだ。

 昼飯時になり、自分の分と女の子の分を作ってくれるよう頼んで、スケベ心とわずかな義侠心のようなものを発揮した時、電話が鳴って「一人芝居の台本を持っていくので、解説のようなものを書いてくれ」と言う依頼。この電話の主はマスターの元部下になる。
 現れるなり「実は急ぎです。原稿料はありません!」と、当然のように言う。「その代わりここの代金は持ちます。」と言うので「この可愛いこちゃんの分も入っておるんど」と脅しにもならないことを言って、仕方なく台本を読み、あらすじのような、解説のような原稿を書いて「あとは知らん、好きなように料理せい、何しろノーギャラじゃけんね!」と言ってやった。

 
 「今日はこんな客ばかりだから」とでも言われたのであろう、「今日はもう上がります、ご馳走様でした。」と言う女の子の背中に「がんばるのよ!」と声をかける。
 なにやらいいことをしたような気分の、半日。

2012年8月12日日曜日

鳥や虫の声を聞き分けたい

山小屋の周りはいろんな鳥や虫が姿を見せ声が聞こえる。
だが残念なことに、なんと言う鳥で、どのような虫が鳴いているのかほとんど解らない。
鳥では、十姉妹、目白、コジュケイ、山鳥くらいがかろうじて解る。虫たちはほとんどわからない。セミの蜩、みんみん、位はわかるが後はさっぱりである。
そういえば子供の頃聞いたつくつくぼうしの声を聞かない。もうすぐ秋の虫たちがいっせいに声を競う時季になる。せめて声の主が誰であるか位は知っておきたいものだ、と思ってる。
彼らのほとんどが長い長い下積みの期間があって、ようやく世間に出て華々しい時を過ごすのはほんの一瞬なのらしい。
なんとけなげな者たちか、と柄にもなく感じ入る。
「よっしゃあ、こうなれば電子辞書だ!最近のは鳴き声まで出てくるらしいぞ!」と、コーヒーを飲みながら隣人たちに宣言する。
「あれ?あの鳥は?」と指差す方向にウズラくらいの鳥がすぐ近くを歩いている。たぶんあれがコジュケイ、と私。タイミングが良すぎる。

というわけで、早速電気量販店に行ってあれこれ見るが、どれが良いのかさっぱり解らない。
誰か教えてくれ!!!

2012年8月5日日曜日

クヌギ林でトドを思う

北海道のヒグマ氏から切羽詰ったような電話。
「実は東京のトド君がヤバイことになってね。腰が痛いというものだから、一度お医者に見てもらえば?と言っていたんだが。どうもよくない状況だね」
「深刻なの?」
「かなりね」と涙声になっている。
「しかしつい先日、ヒグマ氏とシベリアに行って鮭釣りをした。さすがにヒグマは大物をしとめた。という電話があったばかりだよ」
「そうなんだよ。だからこの状況を受け止めることがむつかしいんだ。とりあえず貴方には知らせておこうと思って。九州の友人には貴方から必要な人に知らせてくれないか?」

佐賀のお母さんに知らせた。トドが「俺が知っている女性で一番の人だ」という、とても素敵な女性だ。
「解った。私は何をすればいい?近々鹿児島のAと熊本のB大分のCさんに会う事になっているので話はしておくけど。あとは状況で指示してくれる?」

宮崎の光源氏に知らせると「会いに行きます!」と今にも飛んで行きそう。「待て待て、ヒグマ氏と連絡を取ってからにしては?」ということに。
トドはひとに好かれる人物だ。大きな身体で汗っかきで、大酒を飲み、何でも首を突っ込む。特に女性に好感を持たれる。

ヒグマ氏とトド君は3年ほど前宮崎の農園を訪問した後、我が産山の山小屋を訪ねてくれた。トド君の鍋料理で酒を飲み、雑魚寝をして久住や阿蘇を遊んだことがある。

佐賀のお母さんの助言で、宮崎の光源氏は東京に飛んで行ったようだ。「思わず涙が出ました。」と報告があったそうだ。すでに癌が広がっているらしい。
その後、誰からも何も言って来ない。
クヌギ林の中で、トド君のことを考えている。