2014年2月9日日曜日

生意気な店の弁当を食べてみた

 生意気な店の生意気な女将から「ついでの時にでも寄ってください」とガラにもなくしおらしいメールが入っていたのは、昨年のこと。
 数日後ふらりと訪ねると、仏様にでも会ったような迎え振り。又何かやらかしたのか(以前やらかして弁護士を紹介して片付けたことがある)といやな感じ。
「実は今度九州を走る豪華列車の食事を担当することになって、・・・」
「なぬ、お前がか。どうして?立派なレストランやホテルもあろうし!!!」
「ある方の紹介でコンペのようなものに参加したら最終的にうちになったんです。」
「へえー、それはすごい。それでどげえしたんじゃ??」
「ほとんどメニューは考えてあるのですが、そのしおりに私のおもてなしの気持ちをさりげなく乗せたいんです。これから私のコンセプトを話しますから文章にしてくださいな」
「知らん、知らん」とはいったものの、結局書かされて、後日出来上がったしおりを見ると元の文章は見る影もなく改ざんされていてまったく別物になっていた。
 この生意気な女は!と怒りを感じないこともなかったが、そこは大人の流儀で「なかなか良くできたね」と抑えたのだった。

 膨大病院の院長秘書から電話が入ったの一月の末。。新聞に出ていた豪華列車の食事を出しているお店は弁当も作っているそうで、その豪華弁当を食べてみたい、近く主宰する会議で使ってみたいとのたまっていると言う。私が昔その店で時々千円定食を食べていたことを彼は知っていた。
 院長先生は昔本を編集させてもらっているから良く知っているし、気難しさも充分解っている。
 新聞には「できるだけ人が来ないような店作りをしている」などと紹介してあるものだから、聞いてもらえないか、と言うのが用件。

 試食のための弁当は幸いにも私も相伴させてもらった。会議でも好評だったそうで何よりではあった。
 それ以来、コーヒーを飲みに行ってもデザートがついてくるし、「御代はいただけません」としおらしいことがいえるようになった。
 しかし、生意気でなくなるのはよくないなあ、と心配もしている。

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