2010年5月14日金曜日

建築屋のナベちゃんに会う


 ナベちゃんに会ったのは30年近く前。別府の自宅を建ててくれたのだった。

そのころから商売は下手だったが、家作りは上手だった。私の家も通し柱が気に入らないと棟梁に取替えを命じ、「そんなことはできない」『この段階で取替えは聞いたことがない」とつぶやいたのを聞きつけ、ハンマーを持って次々に傷つけ、「傷がついたから取り替えてくれ」といったものだ。

 それからじっくりと「俺が気に入らないものをお客さんに渡せるか?ここの施主に会うたびに俺は後悔することになる。時間も経費もかかるが、ぜひやってくれ」と言ったそうである。

 だから、いまだに一度だけ少し下がった梁を持ち上げてもらっただけで、何の故障もない。一度大型台風で近所のかわらがたくさん飛んだとき、保険金が出たと言う話を聞いて、「他所の瓦がほとんど飛ぶときはうちも飛ぶようにしとかな」と言って、ひんしゅくを買った。

 産山の山小屋もナベちゃんが建てた。来る人がみな褒めてくれるので、「自分で一生懸命考えた」と言う事にしている。「建てたのは建築屋のナベちゃんだけど」と。

 ひさしぶりのナベちゃん事務所の一階部分は、娘さんが始めたインテリア小物のおしゃれなお店になっていた。ここも面白くなりそうだ。

7 件のコメント:

  1. ほたるの宿2010年5月15日 6:25

    一徹で魅力的なナベちゃんと娘さんの
    インテリアショップ。雑貨好きのぼくに
    とっては覗いてみたくなるお店です。
    ホームページはないのでしょうか。

    返信削除
  2. 早速ありがとうございます。
    damo.chu.jpでいいようです。
    佐藤優の『日本国家の神髄」と言う本を読んでいますが、頭がくらくらしています。僕の家も神道の家系ですが、佐藤氏の神道理解は「ちょっと違う」と思うのです。
     そのうち少し書きます。

    返信削除
  3. ホームページよくできてる!すごい!今度帰ったら行こう♪佐藤優の「国家論」を図書館で借りてきました。月曜日に京都出張なので新幹線の中で読みます。

    返信削除
  4. ほたるの宿2010年5月16日 7:11

    ホームページを見せていただきました。
    寄ってみたくなるお店ですね。

    返信削除
  5. 南風に吹かれて麦藁帽子の山荘に舞い降りました。
    先日のこと、男達四人を目撃。

    最初に盃を満たした。邂逅を寿ぐために。
    長い時を経て、四人の男達が辿り着いた風景は。実に安らいでいて充足の極みであった。その形見に盃を高く掲げた。ふりさけ見れば、遠くに悲しみの形をなした山並みがあり、悔恨にも似た雲さえ浮かんでいた。男達はそれぞれの来し方に乾杯をして幾度も盃を酌み交わした。
    穏やかに時は流れていた。
    更に盃を重ねた。残りの命を華やぐものにするための静かな決意を浮かべて。時をり子供のような歓声があがった。
    最後に盃を干した。再び見えるための別れの儀式として。
     賢兄たち250年の銀齢に祝福を
    緑雨も又、立ち直れないと思えた日々と苦い悔恨を抱えたまま、いつかあなたたちと同じ風景に出会えますように。

    返信削除
  6. 緑雨さんへ
     どなたか、にわかには判じかねますが、素敵なコメントを有難うございます。
     誰でも(もちろん私も)苦い思い出をたくさん引きずっているのです。と、解ったようなことをごめんなさい。

    返信削除
  7. 産山生活楽しく読んでいます。

    返信削除